キツネ根絶に先立つアリューシャン列島西部のホンケワタガモの遺伝構造

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Genetic Structure of the Common Eider in the Western Aleutian Islands Prior to Fox Eradication

18世紀後半以来、アリューシャン列島に生息する鳥類個体群は、ホッキョクキツネ(Alopex lagopus)の導入により著しく減少した。我々は、空間的遺伝構造、人口統計学、アリューシャン列島のホンケワタガモ(Somateria mollissima)の4個体群間の遺伝子流動を調査するため、マイクロサテライト、核イントロン、ミトコンドリアDNAのデータを解析した。mtDNAにおいて、島のグループ内及びグループ間に高いレベルの遺伝構造が見られたが、マイクロサテライトあるいは核イントロンに個体群の細分化は無かった。ホンケワタガモのミトコンドリアと核ゲノム間の遺伝構造の相違は、メスの定住性は高くオスが分散するという、繁殖および越冬生物学に矛盾しない。それでも、島間オスのmtDNAの有意差とZ染色体連鎖遺伝子座Smo1の限界有意差(P = 0.07)は、島のグループもあるレベルの忠実性を持っていることを示唆する。キツネによる個体群の容赦ない減少は、メスの高い定住性と相まって、僅か440㎞離れた島間でもmtDNAに観測された高レベルの遺伝的分化の結果となるボトルネック効果という遺伝的署名を残すだろう。キツネ撲滅に続くホンケワタガモの再建は、遺伝構造の欠落、アッツ島と他の近隣島嶼間の遺伝子流動の非対称性が示唆したように、アリューシャン列島からの新規補充と近隣島嶼からの分散による支持を通してであるだろう。